年賀状の歴史は平安時代にまで遡ります。当時は貴族や公家の間で文書による年始挨拶が行われていました。現存する日本最古の年賀状は、藤原明衡の「庭訓往来」に記された正月の文例とされています。
江戸時代に入ると、武家社会を中心に文書による年始挨拶が一般化し、飛脚制度の充実と寺子屋教育の普及により、庶民にも年賀状文化が広まっていきました。
明治時代に郵便制度が開始されると、年賀状の利用が急速に拡大。1873年に官製はがきが登場し、年賀状の主流となっていきました。
年賀状の発行枚数は、日本の経済成長とともに増加を続け、2003年にピークを迎えます。この年の発行枚数は約44億5936万枚にも達しました。
ピーク時の年賀状配達は、郵便局にとって年間最大の業務となっていました。元日の配達枚数も膨大で、2024年元日の配達数約7億4300万通と比較すると、ピーク時はその3倍以上の規模だったことがわかります。
2003年をピークに、年賀状の発行枚数は減少傾向に転じます。特に2008年以降は14年連続で前年比マイナスを記録しています。
主な減少要因として以下が挙げられます:
年賀状の発行枚数を日本の総人口で割ると、1人当たりの年賀状枚数が算出できます。
この数字からも、年賀状文化の変容が顕著に表れています。
年賀状のピーク時代を支えた要因の一つに、印刷技術の進化があります。特に個人向け小型印刷機「プリントゴッコ」の普及は、年賀状作成の大衆化に大きく貢献しました。
しかし、2008年にプリントゴッコのメーカー販売が終了。これは年賀状文化の転換点を象徴する出来事となりました。
現在では、パソコンやスマートフォンを使った年賀状作成が主流となり、印刷技術の進化が逆説的に年賀状の減少につながっている面もあります。
年賀状印刷サービスの進化について詳しく知りたい方は、以下のリンクが参考になります。
年賀状のピークを過ぎた2000年代後半から、デジタル技術の急速な発展が年賀状文化に大きな影響を与えています。
SNSやメッセージアプリの普及により、即時性の高いコミュニケーションが可能になりました。これにより、若年層を中心に年賀状離れが進行しています。
一方で、デジタル技術を活用した新しい年賀状のスタイルも登場しています:
これらの新しい形式は、従来の年賀状文化に新たな可能性を提示しています。
年賀状のピーク時には、膨大な数の年賀状を元日に配達するため、郵便局は特別な体制を組んでいました。現在も年賀状の元日配達は行われていますが、その規模は大きく縮小しています。
2024年元日の年賀状配達数は約7億4300万通で、ピーク時の3割以下となっています。この減少により、郵便局の年末年始の業務負担は軽減されましたが、同時に年賀状配達の特別感も薄れつつあります。
現在の年賀状配達システムについては、以下のリンクで詳しく解説されています。
日本郵便 年賀状の配達について
年賀状のピークは過ぎましたが、新年の挨拶を交わす文化自体は依然として根強く残っています。今後、従来の年賀状に代わる新たな形式が登場する可能性があります。
例えば:
これらの新しい形式が、かつての年賀状ピークを超える新たな文化として定着する可能性も考えられます。
年賀状のピーク時には、関連産業に大きな経済効果をもたらしていました。
現在は年賀状の減少に伴い、これらの産業への経済効果も縮小しています。しかし、デジタル年賀状サービスなど、新たな市場も生まれています。
年賀状関連の経済効果の変遷については、以下のYouTube動画が参考になります。
年賀状産業の変遷と経済効果(仮想リンク)
以上、年賀状のピークから現在までの変遷を詳しく見てきました。デジタル化の波に押されながらも、新たな形を模索する年賀状文化。今後どのように発展していくのか、注目が集まります。
年賀状は宛名書きとか印刷が大変…
年賀状作りで大変なのが、宛名書き。
今はパソコンを使えば、完全手書きよりは楽ですが、自宅で印刷って、けっこうたいへんなんですよね…。
そういうの大変すぎて、年末が近づくとイヤになる…という人は、以下のような方法もあります。
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