年賀状ノルマは、日本郵便株式会社の組織文化に深く根付いた慣行でした。元々は郵政省時代から続く習慣で、電子メールやSNSが普及していなかった頃から、売れない郵便商品の自爆営業が行われていました。
郵政民営化以降、利益追求の圧力が強まり、職員へのノルマ達成要求がさらに厳しくなりました。所属局によってノルマの数は異なりますが、日本郵政社員1人当たりに「年賀状のはがきを何枚売る」という具体的な目標が定められていました。
自爆営業とは、販売ノルマを達成できない郵便局員が、未達成分を自腹で購入する慣行を指します。この問題は、2020年2月に日本郵便の衣川和秀社長が「完全になくなっていますと言える状況ではない」と認めたことで、再び注目を集めました。
自爆営業の具体的な流れは以下の通りです:
この「錬金術」とも呼ばれる方法で、郵便局員は損失を最小限に抑えようとしていました。
ノルマ達成のプレッシャーは、郵便局員に大きな精神的負担をかけています。OpenWorkの口コミによると、「保険のノルマや年賀状のノルマが達成してないとみんなの前で怒鳴られる」といった行為が頻繁にあり、社内の空気が悪化しているとの報告もあります。
また、ノルマ達成のための対策として以下のような方法が取られていました:
これらの対策は、職員の労働環境を著しく悪化させる要因となっていました。
2018年末に年賀はがきの販売ノルマが公式に廃止されましたが、問題は完全には解決していません。2023年11月に内閣府「規制改革推進会議」の事務局が公表した資料によると、2020年以降も一部の郵便局では自爆営業が続いているという報告があります。
日本郵便は、過剰なノルマがプレッシャーになっているとして、2019年にノルマの廃止を打ち出しました。しかし、衣川社長の発言にもあるように、「拠点数が多く、指示が現場に徹底しない」という理由で、完全な廃止には至っていないのが現状です。
2009年12月1日に特定商取引に関する法律(特定商取引法)が改正施行され、郵便局の営業活動にも大きな影響を与えました。この改正により、はがきやゆうパック等の販売は、以下のように法規制の対象となりました:
これにより、クーリングオフの書面交付義務が生じ、営業活動にかかる負担が増加しました。この法改正は、郵便局の営業方法に大きな変更を迫るものとなりました。
年賀状ノルマの存在は、消費者にも間接的な影響を与えています。過度な営業圧力により、必要以上の年賀状購入を勧められる可能性があります。
消費者として取れる対策は以下の通りです:
年賀状文化を大切にしつつ、過度な消費を避けることが重要です。
年賀状ノルマの問題は、日本の労働文化や企業倫理に関わる重要な課題です。この問題の解決には、組織の体質改善と社会全体の意識改革が必要不可欠です。私たち消費者も、この問題に対する理解を深め、適切な行動を取ることが求められています。
年賀状は日本の大切な文化です。しかし、その背後にある問題にも目を向け、より健全な形でこの文化を継承していくことが、これからの課題となるでしょう。
年賀状は宛名書きとか印刷が大変…
年賀状作りで大変なのが、宛名書き。
今はパソコンを使えば、完全手書きよりは楽ですが、自宅で印刷って、けっこうたいへんなんですよね…。
そういうの大変すぎて、年末が近づくとイヤになる…という人は、以下のような方法もあります。
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